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過去の開催されたセミナー・説明会の内容や受講者の感想をご紹介いたします。
「NPOの資金調達と法人会計
~ひきこもり等の若者を支援するNPO等の経営に関わる方向けセミナー~」
1月23日(月)13:00~17:00
鵜尾氏のご講演は、「ファンドレイジングとは何か」についての基本的な理解からお話を始めて頂き、その本質を理解するために次のようなエピソードをお話し頂きました。 地域の子どもたちのために活動する、アメリカのある女性は、多くの地域から寄付を集めていました。 ある時「どうしてあなたはそんなに寄付を集められたのですか」と問われて、こう答えたといいます。 「私は寄付をお願いしたことはありません。私がやっていることは、地域の子どもたちのために、地域の人たちに対して、 子どもたちが置かれている状況について説明をして、共感してもらっているんです。 そして共感してもらった人たちに対して、解決策を提案しているんです」と。 「それでかならず寄付が集まるんですか」と聞かれた彼女はこう答えたといいます 「いいえ、集まらない時があります。でもまったく問題ありません。 なぜなら、この問題を説明し、共感を得るというプロセスは、社会を変えているじゃないですか」と。 ファンドレイジングの基本が「問題を説明し、共感を得る」というプロセスにあることを、分かりやすく伝えて頂きました。

つづいて、NPO会計税務のエキスパートである脇坂氏からは、 「NPO法人会計基準の使い方」というテキストにもとづいて、新しくできたNPO法人会計基準のポイントについて詳細に解説して頂きました。
初めに、新しい会計基準の基本となる考えについてお話頂きました。「会計の第一の役割は、誰かが財産を託した場合に、 託された側は、それをどういうふうに使われたのかを説明する責任がありますよ、ということなんです。もうひとつ、NPO法人が大切にしてきたのが「情報公開制度」です。もっと多くの人たちに、 自分たちの活動を説明する手段の1つとして、会計が位置づけられているんですね。」
新しい会計基準の重要なポイントは「収支計算書から活動計算書へ」の変更にありますが、活動計算書の具体的な考え方についても、 テキストにそって詳しく解説をして頂きました。 また、参考として『NPO法人会計基準 完全収録版』(八月書舘)と「みんなで使おう!NPO法人会計基準」というHPをご紹介いただきました。
おふたりのご講演のあと、休憩をはさんで、パネルディスカッションがおこなわれ、主に会場からの質問に丁寧に応答していただきました。資金調達とNPO法人の会計基準という新しい分野について、 専門家から分かりやすく解説していただく貴重な機会となりました。
「ひきこもりの若者の生活設計を考える ~公的制度とファイナンシャルプラン~」
12月14日(水)14:00~16:45
はじめに、池田氏からは、「成年後見制度って使えるの?」と題して、成年後見制度は、たんなる財産管理の問題に関わるのではなく、 さまざまな法的契約、たとえば電化製品の購入契約から入院、 手術への同意といった事柄にまで関わってくるものだということを詳しくご説明いただきました。 自分の希望を表現できない立場におかれた当事者の「声なき声」を聴き取り、権利擁護を実現する制度として、 成年後見制度を活用してほしいとのご講演でした。

畠中氏からは、「ひきこもり家庭のライフプラン」をテーマにご講演頂きました。畠中氏は、相談を受ける対象を「原則、ご本人が40歳以上」と決めているとのことです。 なぜ40歳以上かといえば、30代には国の支援があるためと、本人が30代の場合、親御さんがあきらめきれていないケースが多いためだといいます。 畠中氏のサバイバル・プランは、今後本人が働かないという前提でプランニングをしていくとのお話でした。そうした立場から、 「親の資産の洗い出し」「親の側の老後資金設計」「家計のやりくりについての見直し」「生命保険の活用」 「お子さんひとり期の生活費の組み立て」「ご本人やご兄弟への配慮」といったポイントについて、 具体的なプランニングの進め方をご説明いただきました。
お三方からは、公的制度や民間の保険についての情報をふくめ、ひきこもりの方たちの生活設計を考えるうえで重要になってくる考え方や糸口を、数多くお示しいただきました。
「就労支援機関の事業紹介」
11月28日(月)14:00~16:30

西山氏からは、日本生産性本部の受託する「地域若者サポートステーション」事業についてご紹介いただきました。 現在、地域若者サポートステーション(以下サポステ)は全国110か所整備されており、ニート状態の若者を中心として就労に向けて 様々な取り組みをおこなっていることをご説明いただき、今後の課題としてサポステの認知度の向上、各サポステごとに運営のノウハウや 自治体のバックアップ体制などの差を埋めることなどを挙げていただきました。
つづいて、百澤氏から「東京しごとセンター」についてご紹介いただきました。同センターは若者のためのワンストップセンターとして 設立された施設であり、年代別にフロアが分かれ、必要なサービスが提供されているという特徴があること、 若者については基本的には29歳まではヤングコーナーで、30歳~54歳はミドルフロアで対応していることをご説明いただきました。 しごとセンターはハローワークの前段階という位置づけであり、自己理解のサポート、履歴書の書き方・面接対策、 キャリアカウンセリング、セミナーといった就職活動支援が実施されているとのことです。

最後に、伊藤氏から「東京障害者職業センター」についてご紹介いただきました。同センターは、障害のある方に対して職業に関する相談支援をおこなう施設であると同時に、障害のある方を雇っている、あるいはこれから雇う予定の事業者の方々に対して、また障害者の就労支援に関わっている関係機関の方に対して、相談と支援をおこなっている施設です。障害のある方への支援は、障害者職業カウンセラーとの面談から始まり、職業適性をみる「職業評価」と「職業リハビリテーション計画の策定」を経て、必要な支援を提供していくという流れになります。 具体的な支援プログラムとしては「作業支援」(施設内での模擬的な就労体験)、「職業準備講習」(面接の受け方、履歴書の書き方、基本的なビジネスマナーや働く上での心構えなどの講習)、「精神障害者自立支援」(ソーシャルスキルストレーニングなど)のほか、「ジョブコーチ」が実際の職場に出向き、障害を抱えながら働く 人の定着支援、雇い入れる側への助言などをおこなう支援がおこなわれていることをご説明いただきました。
それぞれ、会場からの多くの質問にも丁寧にお答えいただき、「ひきこもり」支援に関わる都内の社会的資源を学ぶ良い機会を提供していただきました。
「若者の居場所における支援のポイント
~ベテラン支援員による事例紹介とパネルディスカッション~」
11月9日(水)18:00~20:30
藤井氏からは、若者の課題は先進国共通の「後期近代の社会システム」の問題であり、プライベートなトラブルではないこと、本来手をつけるべきは若者たち自身ではなく、社会の側だという所属団体の基本姿勢についてお話しいただきました。しかし「そうは言っても、でもその中で生きていくんだ、という課題があります。どう生きていくかということを君ら(若者)自身が問われるんだ、という課題です」。
こうした若者自身の課題と向き合うにあたって、「居場所」がどのような役割を果たすべきなのか、ポイントを説明していただきました。藤井氏は、若者支援の目的は「自分を生きる主体を形成することの支援」だと言います。ひきこもり状態を経験した若者の心の中には自分自身を否定する気持ちが根強く存在しています。居場所とはまずそのような自己認識を変えていく場所です。「安定的な仲間関係の中で、自分が果たす役割が具体的・現実的に感じられることによって、自分が見えてくるはずです。安定的で安全で排除しない関係とは、共感的な聞き取り合いがあり、応答性があるということです。応答というのは必ずしも「いいね、いいね」だけではないはずです。「それってどうなの」とちゃんと向かってくれる、ということも含まれます。それが居場所での最大の目的であると思います。」
「居場所」を通じた若者支援とは、若者を居場所に囲い込むのではなく、参加する活動の場を広げていくことだとまとめて頂きました。

居場所における支援者の姿勢については、「人と関わるのが難しい子たちなので、人と関わることでトラブルが発生するのは当たり前なんですね。そのピンチをいかにチャンスに変えられるか、という考えで支援者が向かえることが大事だと思います。石につまずきながら前に進むというのがすごく大事なんですね」と、居場所で起こるトラブルを回避するのではなく、トラブルに経験を通じて成長をうながしていくことの重要性を指摘していただきました。
休憩をはさんで後半は、コーディネーターとして駒澤大学の萩原健次郎氏に加わっていただき、パネルディスカッションがおこなわれました。「支援の枠を設定すること」「何を支援するのかを明確にすること」の重要性、「支援者・支援対象者のあいだの距離に敏感になること」「支援者が自分自身を知ること」「建前で付き合うこと」の大切さなど、居場所での支援のさまざまな要点について、話題を展開していただきました。
講師のおふたりには、豊富な支援経験にもとづく具体的なエピソードをまじえて、わかりやすくお話しいただき、居場所における若者支援のポイントを学ぶ貴重な機会となりました。
「見立てとリファーについて ~ベテラン支援員による事例紹介とパネルディスカッション~」
10月18日(火)13:30~16:30
藤井氏からは、インテークの際のポイントのひとつとして、各団体が自分たちの専門性を見極め、 見立ての際に一定の基準をもつことが大事だとお話しいただきました。
「その基準を超える方が来られた時には、全面的に抱え込むことはしないというふうにしないと、 ご本人と家族と支援者が不幸なことになりかねない、というのが我々の思うところです。 どうしても支援者はいい人なんですよね。いい人だから何とかしてあげたいと思ってしまうのですが、 その思いが逆に困難を深めてしまう結果になるということは多々あります。」

また、実際にプログラムに参加してもらう場面で一対一の相談からは見えてこない面が見えてくることも多く 「ご本人が言っているほど出来ているか出来ていないかという見立てにも使えるんです。」と、 実際の活動をみて見立てをおこなうことが重要だと指摘していただきました。
井村氏は「若者の自立支援というのは1ヵ所では完結できないんですね。ゆえにリファーというのが必要になってくるのです。 支援者がつながっている機関の数、もしくは相談できる専門家の数=支援力だと思います」とリファーの重要性について お話しくださるとともに「若者支援というのはタイミング業です。 ずっと(その若者に関わって)見ていきながら、そのタイミングというのがいつなのかなというのをちゃんと見立てる」と タイミングを見極めることの重傷性についても、事例を挙げてわかりやすくお話しいただきました。
後半は、お三方から、会場からの質問への応答も含めてディスカッションをしていただきました。その中で、 「職場体験等さまざまな現場での本人の動きをみながら、見立てをたえず更新していくことの大事さ」とともに、 「リファーするというと何か放っておくといった感じだけれども、(リファー先の機関と)リンクすると考えたらいい」 というリファーの基本的な考え方も紹介していただきました。
最後に藤井氏から「ありだな、きれいだな、素敵だな、人ってともに生きるってちょっといいかもな、 という感覚をどう作っていくか、というのがやはり根本的なテーマになるんだろうなと思うんです」と ひきこもり支援の基本的な立場についてもお話しいただきました。
会場からの質問にもお答えいただき、ひきこもり支援における見立てとリファーの重要性についておおいに理解を深める機会となりました。
「発達障害支援の現場における効果的実践を考える ~発達障害者支援センターにおける相談事例から~
」
9月29日(木)13:30~15:00
講師:東京都発達障害者支援センター 石橋悦子 氏

発達障害は「みえにくい障害」と言われるように、家族や周囲の方も本人の特性を認められずに叱責してしまうなど、 本人が孤立しひきこもりのような状態に陥ってしまうケースは多いそうです。
「周囲の人たちに囲まれて安心できる関係が育っていない方の場合は、周りからのプレッシャーに加えて、 感覚的な過敏さといった反応も出やすく、過酷な状況に陥りがちです。そうなると誰も頼りにならないから自分を防衛する。 そのためにいろいろな鎧をつけていくんですね。自分を守る、怖いから外に出ない、外に出るとろくなことがないから、 と家の中にいて自分の生活を組み立ててしまう。誰にも口出しさせないとか。気晴らしとしてばーっといろいろな物を買ってしまうとか。 人に暴言を吐かないと気持ちがすっきりしなくなるとか。そういう社会的でない生活の仕方がどうしても身についてしまう。」

「効果的な実践」という点については、(1)支援の現場で支援者の気持ちが安定する、 (2)本人の生活がよくなる、という2つのポイントを挙げて頂きました。
後者については「やはりその人たちの生活が安心、安定するということです。それから社会の中で本人にとって有意義な生活を目指すこと、 ようするに、本人が主人公だということですね。アスペルガーといわれて生きづらさはあるのだけれど、自分なりの人との接し方、 飲み会の付き合い方、家族との接し方、親戚の集まりの参加の仕方を自分で考えていく」「この人たちがちゃんと力を出せる、考える、 現実的に迷う。そこでちゃんと人が関わって支援する。そういう関わりができる場というのは絶対に必要です」と、 発達障害者支援に限定されない、対人援助の基本的な姿勢をお話しくださいました。
最後に「「障害という向こう岸に必ず渡さないとだめ、こっちに入るんだったらすべてやってからいらっしゃい」という発想だったら、 多くの人がそこからこぼれていく。社会の側がもう少しキャパシティを広くして、違うペースの人がいるのもありとならないと、 障害者とならないと生きていけない人がすごく増えてくると思いますね。」と、支援者・社会の側の発想転換の必要性についてお話しいただきました。 具体的かつ柔軟な視点に立った援助論で、ひきこもり支援にとっても参考になるところが多くありました。
「家族支援の重要性、家族療法について」
9月2日(金)18:00~20:00
講師:中村心理療法研究室 室長 中村 伸一 氏

中村先生は、家庭の中では家族とコミュニケーションがとれている「ひきこもり」状態と、家族との間に厚い壁があり、 コミュニケーションがとれない「たてこもり」状態を区別して考え、まずは「ひきこもり」が「たてこもり」にならないように、 あるいは「たてこもり」から「ひきこもり」へ変わっていくように、家からは出られなくても安心して家にいられるように、 家族を支援していくことが重要だとお話いただきました。
そのうえで、「ひきこもり」・「たてこもり」の背景に、なんらかの精神障害がある可能性を見逃してはいけないと指摘されました。 ひきこもり・たてこもりの背景に、不安障害や気分障害、発達障害や知的障害、パーソナリティ障害等があるケースもあるということです。 他方で、たとえば繰り返しの手洗いなど、強迫的な行動は、不安な状況では誰しもするものでもあるため、強迫的な行動の背景になんらかの障害があるのか、 追い込まれた状況で出てきている一時的な行動なのかを見極めることが必要とのことです。

「ひきこもる本人を叱咤激励すると、ますます「家族に分かってもらえない」と感じて、居間には出て来たような子が、 だんだん「たてこもり」の方へ行ってしまうという悪循環が生じることもあります。「将来お前はどうするんだ」とか、 家族は本人に不安をぶつけたいと思うんですけれど、そこをちょっと我慢してもらうことですね。」
ひきこもっている本人に対して、家族がつい腫れ物に触るように接してしまうというケースも多くみられます。 その場合には「ちょっとしたことでも、家族の中で役割を担ってもらう。たとえば、洗濯物を干してもらう、 食器を洗ってもらう、インターネットで調べ物をしてもらう、それに親はありがとうと感謝する、 そういったことで本人は家族の中での自分を確認することができます。」
会話でのやりとりでなくても、たとえば本人が腰の痛みを訴えているときに腰をさすってあげ、それが半年続いた頃、 「ありがとう」と言ってもらえたなど、時間をかけてじっくりと気持ちを通い合わせることもできたというエピソードもご紹介いただきました。
「ひきこもり支援は長丁場になるので、気力・体力を温存するという意味でも、自分のリズムを保って、何か楽しみを見つける。 家庭の外での交友関係を大事にする。ある程度恥をしのんで、信頼できる友人や仲間に「いや、うちの息子、実はね 」といった話をした方がひじょうに楽になります」と家族への具体的なアドバイスも頂きました。
長年の家族支援のご経験をふまえて、家族支援のポイントをわかりやすくお話しくださいました。
講演資料はこちら(PDF:0.64MB)
「若者の生活意識と働く意識」
7月27日(水)14:30~16:30

7月27日(水)、国立オリンピック記念青少年総合センターにて、岩間夏樹先生を講師にお招きし、講演「若者の生活意識と働く意識――“変化する意識”と“変化しない組織”との間で」がおこなわれました。
社会学がご専門の岩間先生からは、昭和44年以来継続されている日本生産性本部の「新入社員意識調査」や、最近のマンガに描かれる若者像など、さまざまなデータにもとづいて「現代の若者の仕事に対する意識の特徴とその背景」を解説していただきました。
近年の新入社員意識調査からは、リーマンショック以降の厳しい就職活動状況が今年も続いていること、その一方で、リーマンショックや震災以降の状況にもかかわらず、あるいはそれだからこそ、「世の中はいろいろな面で今よりもよくなっていくだろう」という回答が過半数を超えていること、そういった興味深いデータをお示しいただきました。また、ひとつの会社に定年まで勤めたいと考える若者がここ数年増加傾向にあるとのことです。
40年におよぶこの調査からは、何のために働くのかという考え方について、団塊世代、新人類世代、団塊ジュニア世代の間でさまざまな意識の違いがあるといいます。団塊世代はチャレンジ、新人類世代はリッチ、団塊ジュニア世代はエンジョイ、と目的意識の違いをまとめて頂きました。
ニートやひきこもりに限らず、多くの若者が「自分に合った仕事って何だろう」と考えていますが、その背景には、次のような3つの事情があるといいます。

第二に、今の若者にとって、働くことが「自分さがし」という意味をもっているという現状があります。これはいわば「働くことの私事化」であり、働くことが家族や何か他人のために献身することから、自分のためにすることに変わった、といえます。
第三に、働くことのコモディティー化が起きているといいます。コモディティーとは「ありふれた日用品」ということで、働くことが、個人のアイデンティティとつながるようなものではなく、「誰がやっても同じ」というものになってしまったことが、最近の状況としてあるとのことです。
以上、(1)働くことの動機づけの不透明化、(2)「誰かのために働く」という働き方から「自分のために働く」という働き方へ(働くことの私事化)、(3)働くことのコモディティー化、という3つの変化が、若者の「働くこと」の難しさの背景にあるとのことでした。
最後に、新入社員意識調査とニートの若者の調査を対比して、ニートの特徴としては「対人関係の苦手意識と弱気さ」が確認できるが、「働くことへの意識」について両者の間にはほとんど差がない、という興味深いデータを紹介していただいたうえで、若い世代を上の世代が社会・職場にうまく取り込んでいくことができていないという視点から、今後改善されるべき職場のあり方・雇用のあり方の課題と対応の方向性をご説明いただきました。









